2010年12月14日火曜日

秦野刺殺事件で求刑超え判決、厳罰は「市民感覚反映の結果?

 14日の裁判員裁判判決で、裁判員6人を含めた横浜地裁が宣告したのは、検察側求刑を2年上回る懲役20年だった。”厳罰”の背景を、刑法学者は「市民感覚を反映した裁判員裁判の結果」と分析した。

 「責任を自覚し、罪を償ってほしい」。高橋裁判長の呼び掛けに、白シャツに青ネクタイ姿の本村被告は「はい」と小声で答えた。本村被告の弁護人は「量刑はコメントできない」としつつ、抗うつ剤に焦点を絞って心神喪失による無罪主張をしていただけに「心神喪失が認められないのは納得できない」と述べた。

 一方、亡くなった増田守男さん=当時(79)=の長女は判決後、報道陣の前で「懲役20年判決を頂き、裁判員に感謝します。一生懸命、審理した結果と思う」とコメント。「父の想像を絶する恐怖や痛みを思うと遺族の怒りは収まらない」と、顔をこわばらせ、声を震わせて話した。

 今回の事件では、殺害の目撃者など、被告を犯人だと直接証明できる「直接証拠」はなく、現場に残った被告の指紋など「間接証拠」で地裁は有罪と判断。裁判員経験者はいずれも「取材は断りたい」として、会見は開かれなかった。

 一橋大学の村岡啓一教授(刑事法)は「裁判員裁判の狙いは『市民感覚の反映』」と述べ、「求刑を上回るのは、量刑相場や求刑に拘束されずに執行猶予付き判決が出ていることと同じこと。被告の法廷での態度などを考慮して厳罰化に傾いたとみられる」と分析した。

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引用元:ロハン(新生R.O.H.A.N) 専門サイト